マネーゲームのシナリオ構成法

 今回の記事では、マネーゲームのシナリオ構成法に関して解説してみます。
前回の記事ではマネーゲームの概要イメージについて紹介をしています。(過去記事:マネーゲームとは

 過去記事の『マネーゲームとは』と同じ例を用いて解説します。下記例1を見て下さい。

マネーゲーム - シナリオの構成

 例1として、USD/JPYの通貨ペアを題材にします。まず、下記のような仮説を立てます。
・アメリカと日本って、貿易関係強いし、日米安保もあるし、今後も仲良くやっていく
・アメリカも日本も先進国だけど、世界の警察とも言われ、基軸通貨であるドルを保有しているアメリカに対して、人口や、土地面積で劣る日本が投資対象として、魅力的には見えないし、仮に下落しても、また、上昇して戻ってくる
・下げたとしても、50円を切ることはない
・110円で買って、下がらずに120円になったら、一旦終了する
とします。

 シナリオ作成時の必須部分としては、
○○円を切ることはない。→ ロスカットする条件(レート)を決める
といった下限値の見極め
一旦終了しよう。 → 決済条件を決める
といったシナリオ終了条件です。

そして、次に値幅を決めます。ここでは、相場の値動きベースでなく、計算の容易さ、説明の容易さの観点で、10円幅とします。

・110円で買い建て →  120円で決済し一旦終了 
(レートが下落していくならば)
・100円で買い建て →  110円で決済
・90円で買い建て  →  100円で決済
・80円で買い建て  →  90円で決済
・70円で買い建て  →  80円で決済
・60円で買い建て  →  70円で決済
・50円で買い建て  →  60円で決済
・50円よりもレートが下落すればロスカット

 上記のようなシナリオを作成します。この次に考慮(計算)すべき項目は、必要初期投資額(預入額)です。

必要初期投資額の計算

 投資額をどのように計算するかに関しては、過去記事の『FXでの資金の運用』や、『強制ロスカットとは』で触れておりますが、必要証拠金、余剰証拠金、含み損とスワップポイントを考慮すれば計算できます。

計算方法を順を追って説明致します。『50円よりもレートが下落すればロスカットする』、をより具体的に、45円になった時ロスカットする、という前提を置きます。また、必要証拠金が、レートが下落したとしても変化しない(必要証拠金額が下がらない)、という悲観的条件を前提に置きます。

 悪い方の事態を想定する(=45円になり、ロスカットする状況)ことで、必要初期投資額を計算していきます。

1. 必要証拠金を計算する。
2. ロスカットする時の含み損を計算する。
3. 1.と2.を合計する

という流れです。

1. 必要証拠金を計算する。
50円、60円、70円、80円、90円、100円、110円で買いポジションを建てますので、7つの買いポジションが必要です。FX会社によって、最低取引通貨単位が異なるので一概には言えませんが、1,000通貨で売買が可能という前提で計算します。
必要証拠金=110[円]×1,000[通貨]÷25(レバレッジ25倍なら)×7=30,800 [円]

2. ロスカットする時の含み損を計算する。
 含み損=110円~50円の買いポジションが45円になった時の含み損の合計
=(110-45+100-45+…  +50-45)×1000[通貨]
=245,000[円]

3. 1.と2.を合計する。
30,800[円]+245,000[円]=275,800[円]

 上述のように必要初期投資額を計算します。
資金サイズをもう少し大きくしたいのならば、
上記投資額の2倍、5倍、10倍と整数倍した初期投資額、売買の取引単位で取引する形です。
例では、1,000通貨での取引を想定しておりますので、
2,000、5,000、10,000通貨と買いポジションの量で調節すれば、シナリオはそのままで、活用できます。

 仮に、約20年前の1999年1月1日に上記シナリオで運用していた人がいたならば、11回の売買があったので、11万円の為替差益を得て、110円の買いポジションを保有している状態、となります。

 簡単ではありますが、上記がマネーゲームのシナリオ構成法を活用して、作成した投資運用の検討結果です。今回のケースではスワップポイントを考慮に入れておりませんが、スワップポイントがマイナスになるようなポジションの建て方をする場合は、考慮に入れる必要があり、初期投資額を増やす、追加証拠金を入れる、等の対処が必要になってきます。

 銀行の定期預金に20年間預けていても、275,800円が385,800円になっていた!という事はないと思います。年利1.69%位の検証結果ですので、リターンとしては、大きくはありませんが、資産活用の一例として知っておいて損はない方法と思います。

【まとめ】
・初期投資額は、数十万円~で、マネーゲームのシナリオの作成が可能。
・下限値の見極めと値幅の決め方で利益率やリスクが変化

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